ボクっ娘淫魔の巣窟 はじまり

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はじまり

 俺はまた、「彼女」と会っていた。
 彼女と会う場所なんて、どこでもいい。道端でも、部屋でも、電車でも、あるいは風呂やベッドの中でも――倫理的なものを含めて――問題ない。
 パソコンの画面とにらめっこして文章を描いてる今でも。

「――あっ、また来たんだ♥」

「彼女」は明るい声で言った。

 甘い声で、ロリ声とも取れなくはないが……媚びは感じない。凛とした、打算も計算もない、親しみの呼び声――

 背は低い。体も細い。けれど病的ではなく、はちきれんばかりの溌剌さ、元気の良さを体現している健康的なショートカットの女の子、ただ発育の良い大きなおっぱいが、ぷるんぷるんと揺れていた……
 
「彼女」――俺は今まで彼女に何度名前を付けてきただろう。時には、ただの人間の女の子として、時には男の精を吸い尽くす淫魔として、時には主人公と結ばれる恋人として、あらゆる小説やゲーム作品で「彼女」を書いてきた。

 ただ、書けば書くほどに、その役割を通り越した先にいる「彼女」を構想せずにはいられなくなっていた。

「どうしたの? またボクでぬきぬきしちゃうの?」
「彼女」は半分呆れた声で、半分は嬉しそうにくすくすと笑うように、くりくりとしたお目々で俺を見つめている。
「もう、何度も言ってるでしょ? ボクばっかり書いてると、他のみんなが飽きちゃうよ? 他にも色んなキャラいるでしょ? 妖艶なお姉さまとか、ツンデレとか、妹とか……」
『関係ない』

 俺は、また『彼女』に役割を与える。
“サキュバス”――使い古されたネタではあるが、小さなコウモリの羽根を両肩に生やして、きわどいレオタードに身を包んだ『彼女』の姿には萌えるものがある。

 豊満な胸元なんてハート型に切れ目が入って、動くたびにぷるぷる振るえ、むちむちの太ももには網タイツとガーターベルト、それを見えそうで見えない程度に隠すスカート……

「もう、“おりじなりてぃ”がないなぁ……どう見ても、どこかで見た“こすちゅーむ”だよ?」

 くすくすと嬉しそうに笑いながら「彼女」は、感情のない貶しのコメントを告げてくる。どんな役割を与えても、彼女はいつも明るく、裏表のない笑顔を向けてくる……

「それに結末もワンパターン。キミはまた、いつものようにイカされちゃうんでしょ?」

 いつものような明るい笑みに妖艶さを足しながら「彼女」はセクシーなサキュバスの衣装――ハート型にくりぬかれた場所から見えるおっぱいの谷間を強調し、俺の前でセクシーなポーズを決めてみせる。

「ほら、もう息がハァハァしちゃってる~♥ ボクのおっぱいの谷間見ただけで興奮しちゃってるんだ? いつもいつも、ボクのおっぱいで弄ばれてる童貞おちんちんクンは、今日も優しくヌキヌキされちゃいたいの?」

 サキュバスの役割を与えられた「彼女」は、妖艶さとイタズラっぽさを強調し――腰をふりふりさせるモンローウォークや、男の心を蕩けさせるような甘い匂いを漂わせながら、俺のおちんちんの前におっぱいを近づけていく……

「ほら、我慢汁が出てるよ? キミがこれからどうされるか、分かっちゃってるみたいだね♥」

「彼女」はまず、俺のペニスの直前にまで乳房を近づけると――そーっと、触れるか触れないかギリギリのところを乳房で撫で上げた……! かすかに当たった乳房の感触に、思わず背筋にぞくぞっくと冷たい快楽が過ぎ去っていく……

「残念っ♥ くすくすっ♥ 相変わらず からかい甲斐があるね。キミは。いっつもいっつも、ボクを登場させるたんびにおっぱいばっかり大きく書いて……くすくす……バッカじゃないの?」

「ふっ……ふわああああああっ!」

 彼女はおっぱいを俺のペニスにぎゅにゅうっとくっつけて、すりすりと力強く擦りあげてきた! 弾力のある柔らかな双乳は、形を変形させて、俺のペニスをより一層包み込んでいく!!

「風俗にも行ったこともなくて、女の子と手を繋いだこともないのに、いっつもボクのおっぱいの感触のことばっかり考えて……変態っ♥」

 甘い声で言葉責めを加えながら、彼女はニコニコと笑って言った。

「ボクのおっぱいで顔ぱふぱふされて、天国に逝きたいんだよね?
 オマンコ押し付けられて愛液の匂いのこと想像するより、谷間から出るフェロモンに、頭の中までとろとろにされたいんだよね?
 オマンコで精液どぴゅどぴゅしちゃうより、おっぱいで虐められて虐められて、完全なおっぱいの奴隷クンになりたいんだよね?」
 
「ふっ……ふわぁあああああっ!」

「彼女」は妖艶なサキュバスの衣服を着ながら、俺のペニスをふわふわおっぱいの中に挟みこみ、ふにゅふにゅっとすり合わせていく……!

「ほら、ほら、ほぉらっ♥ キミのだぁい好きなおっぱいぱふぱふだよっ? キミの包茎おちんぽ、挟まれてぬくぬくしちゃってる……今まで何度これでイっちゃったのかなぁ?」

 優しく焦らすかのように、俺のペニスを包み込んでくる柔らかな魔性のおっぱい……
 今まで何度も俺が精液で汚してきたおっぱい……ああ……幸せだ……

「くすくすっ……本当のおっぱいの感触なんて分かってるの~?」

「彼女」は口元から八重歯をちらりと見せながら、薄い唇を小さな舌でペロッと舐めて見せた。

「キミはず~っと、ボクに幻想を見せられているんだよ? 大きなオッパイで包み込まれて、快楽の楽園に連れて行かれる優しい夢を……全部、夢なんだよ? ボクがいるのも、ボクの柔らかいおっぱいに包まれているのも、キミがボクのこと好きだって思ってるのも、全部ウ・ソ。
 キミはボクに騙されて、そして気持ちよく精液をどぴゅどぴゅしちゃってるの……」

「彼女」はにこにこ笑いながら、言葉責めパイズリをやめようとはしない!

「でもキミはボクに精液をどぴゅどぴゅしちゃう。ボクのことが好きで、ボクのおっぱいに包まれるのが好きで、全~っ部放出しちゃうの。やめろって思っても無駄……キミは最初からボクの魔法に掛かってるんだもん」

『魔法……?』

 違和感があった。「彼女」は俺の創作物であるはずなのに、俺の全く知らないセリフをしゃべり始めている。まるで本当に目の前にいるような、そんな感覚が、俺の中に膨らみ始めていた。だが、俺の指は続くを書くのをやめようとはしない……!!

「ふっ……ふわああああああっ!!!?」

 俺のペニスに違和感が生じた。文の中ではない。本当の、今パソコンを打っている俺の方に違和感があった。
 ペニスが今までかつてない快楽に包まれて、痛いほどに勃起し始めた!

「ふぅん……本当のキミのおちんちんって、こんな大きさなんだね?」

 彼女の声が聞こえる。いや、待て。これは――文章を打っている、俺の頭の中の想像の声、それとも現実の耳に届く生身の声なのか?

「現実の世界につなげちゃった……くすくす。キミのおっぱい好きには感謝しないとねっ♥ お礼に、本当のパイズリを味あわせてあげるねっ♥」

 途方もないほどに柔らかい感触が、ペニスを両側から押し潰した! 普段、自慰でしか快楽を感じたことのない俺のそれは未知の快楽を前に簡単に射精してしまうっ!!

「――あはっ♥ キミのザーメンってこんな味なんだ……ふーん。思っていたのと違うんだね」
 
 俺の手で文章は打っている。だが、中にいる「彼女」はすでに俺の手から完全に離れている。

『お前――お前は、一体……』

「時々ね、いるんだよ? 想像力の強い人間が生み出したそれが、創造者の力を吸い取って実体化しちゃうこと……特にいやらしい気持ちで作った女の子のキャラクターは、男の子の精的エネルギーを吸い取ってね、あるものに変わっちゃうの……」

『あるものって……がああああっ!!』

 脳が焼け付くような快楽! 俺が問いかける前に「彼女」のパイズリはラストスパートに掛かった! 俺の生身のペニスは理想のおっぱいによって蹂躙され、何もかも吐き出してしまいそうになる!

「ほら、ほら、ほらっ♥ 気持ちいいでしょ!? ずっとこうされてみたかったんでしょ? もう、本当の意味で逃げられないよ。キミは、ボクから、ボクのおっぱいからも絶対に逃げられないんだから」

「だってボクはぁ――」

 最後に「彼女」は強い力で俺のペニスを締め上げた。
 俺の精液は勢いよく解放され、あっちこっちに飛び跳ねていく!!

「――サッキュバスだもんっ♥」



 次の朝、俺はシャットダウンしたパソコンの前、精液塗れになったティッシュの山の横で眠っていた……

 あれは夢だったのか? それとも現実だったのか。

 ……未だに自信がない。

 そしてパソコンは今、俺の部屋の奥で眠っている。

 だが俺は、怖い。

 何がって――

 今にもその封印を破ってしまいそうな自分に、だ。

「彼女」に会いたい。「彼女」でまた射精したい。
 けれど今度射精すれば、俺の命がどうなるか分からない。
 けれど、俺は――

 数分後、俺の部屋にはパソコンの起動音が鳴り響いた。




-THE END-

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