ボクっ娘淫魔の巣窟 相対正義ドーテイダー

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相対正義ドーテイダー

 どんなに馬鹿らしくとも、《ルール》に従わなければ不利になるだけだ。

「……も、萌え~……」

 恥ずかしい気持ちを抑えながら言うと、ボクっ娘メイドは少し唇を尖らしながらも、おしぼりをやめ、席から離れた。戦いである以上、少しも油断するべきじゃない。

「むぅ……な~んか、信用されてないなぁ。別にズルして勝とうとは思ってないよ」

「……油断できるか」

 俺ができるだけぶっきらぼうに言うと、ボクっ娘メイドはなぜかクスクス笑って……

「えへへっ♥ 油断するとすぐに萌えちゃうから?」

「なっ、何を……」

「キミって、ホントにボクにベタ惚れだもんね~ッ♥」

 ボクっ娘はにこにこ笑いながら言った。

「ホント、昔っから幼なじみだったし。クラスのみんなからもギャルゲーみたいってからかわれたよねッ。ボクのレイヤー仲間からも羨ましい羨ましいって」

「――うるさいッ!!」

 咄嗟に俺は叫んでいた。

 まるで本当にアイツと話しているみたいで。心許してしまいそうになったから。

 目の前にいるのは、アイツじゃない。

 俺の目の前で、アイツは食われたじゃないか。泣きながら助けを求めていた彼女を取り込んだのは、目の前のコイツなんだぞ……ッ!?

「お前はアイツじゃな――ッ!!」

 次の瞬間、俺の唇はボクっ娘メイドの柔らかい唇に塞がれていた。恋人同士がするような甘いくちづけ。交際するようになってから何度もしてきたことだった。

 唇を離してから、ボクっ娘メイドは顔を赤らめて、照れ笑いを浮かべながら言った。

「ボクは、ボクだよッ♥ キミが大好きで、日曜にはコスプレしたり、一緒にアキバデートしてきた、キミの良く知ってる女の子だよッ♥ スプレッターになっちゃったケド、キミとの思い出はみ~んな覚えてるもんッ♥」

 ボクっ娘メイドは昔を思い出すようにこう言った。

「……昔っから家が近所だったから、よく一緒に遊んだよね。近所の空き地で追いかけっこしたり、カン蹴りしたり」

 ……そうだ。アイツは、女の子の友達よりも、俺達といつも一緒にいた。男の子のグループに何の違和感もなく溶け込んで、いつの間にかいるのが当たり前になっていた。

「ケンカとかもしたね~ッ。くだらないことばっかりだったけど」

「……ごっこ遊びすんのに、ビヨンドマン役、どっちがやるかとか」

「あれはキミがビヨンドマンは女の子にはできない、とかいちゃもんつけるからでしょッ」

「……そうだったか?」

「そうだよッ」

 ボクっ娘メイドは、あははっと笑った。

「でも……楽しかったな。中学とか高校になってからは、あんまり一緒にいることはなくなったけど」

「登下校一緒にしてただろ」

「んー。そういうのとはまた違うんだよな~。もっとこう、ろまんちっくな感じで……」

「俺達がろまんちっくって柄かよ」

「あははっ。そーだね。……それに」

 笑っていた時、ふとボクっ娘メイドの顔に影が差した。

「ボクが足ケガした時、一番、励ましてくれたよね?」

「……」

 俺は何とも言えなかった。

 高校三年の夏、陸上短距離のエースだったアイツは、大会を目前にしてケガをした。慢性疲労による足関節の靭帯損傷――しかも無理がたたって、今後とも激しい運動を長期的に行うことができない、と診断された。

三度の飯でさえ、本当に好きだったアイツにとって、それ以上に好きだった陸上を断念することは、死を宣告されたようなものだった。

「病院に入院してた時、みんな色々と励ましてくれたけど、正直、誰の話を聞く気にもなれなくてさ……今思い出すと自分でも嫌になるくらい、みんなに八つ当たりしちゃって……でも、キミは違ってた。みんないなくなった後、キミだけ、病室に来て、何も言わずにずっと、横にいてくれた……」

 彼女は本当に嬉しそうに言った。

 俺が見舞いに行った時、アイツは夕方の病室で、ぽつんと一人で座っていた。彼女の足に巻いてある包帯と、横においてある松葉杖が嫌に痛々しくて――

 少なくとも、早く元気になれよ、とか。きっと走れるようになるよ、とか。そんな白々しいことをいう気にはなれなかった。

 だけどそれ以上に、元気のないアイツを見るのが、俺には苦痛だった。少しでも元気になって欲しくて、俺は何も言わずただ、アイツの傍にいてやろうと思ったんだ。

「……ほとんど、無意味だったと思うけどな」

「そんなことないよ」

 ボクっ娘メイドは、穏やかな笑顔でこう言った。

「少なくても……ボクは、とっても嬉しかった……」

「!?」

 次の瞬間、ボクっ娘メイドはフリフリのメイド服に包まれた細い体で、俺に抱きついてきた。

「おっ、おい……うッ」

「えへへっ♥ ご主人様にサービスで~すッ♥」

 ボクっ娘メイドは甘えるように抱きついてくる。さっきも至近距離だったが、今度は体の密着の度合いが違う。さらさらの布の肌触りと、その奥から伝わってくる人肌の柔らかさとぬくもり、それに甘い果物のような香りが伝わってくる……

 しかも――

 ぷよん♥

 ぷよん♥

 大きくて柔らかなふたつのましゅまろが、俺の顔を包み込んできた。何もかもを包み込んでしまいそうなくらいにふわふわと柔らかくて、ずっとこうしていたいと思ってしまうくらいに心地良い……

「てへへっ♥ 気持ち良い? ボクのおっぱい♥ 陸上やってた時はぺったんこだったんだけどな~。陸上やめて、コスプレ始めた時くらいから大きくなっちゃったんだよね~」

 不思議そうに言うボクっ娘メイドの声が頭上から聞こえてくる。そう。陸上部をしていた時のアイツにはほとんど胸がなかった。だが陸上を断念し、アキバに染まり始めた頃から、アイツの胸はどんどん大きくなって……

「えへへっ♥ ひょっとして、キミのことをホントに好きになっちゃったからかも~ッ♥ だったら責任取ってよねッ♥」

 ボクっ娘メイドは、声を弾ませながら更に柔らかなふたつのましゅまろを押し付けてくる。

 ああ……やばいッ。すっごい気持ち良い……

 とっても晴れた日に干したふかふかの超高級の布団に包み込まれたらこんな感じなのだろうか……

 まるで心を真綿で包み込むかのように……ゆっくりと抵抗する力をとろけさせていくような……

「えへへっ~♥ 実はボク知ってるんだよね~っ♥ キミってホントは、おっぱいが大好きな、おっぱい星人なんでしょ~♥ ボクがおっぱい大きくなってから、ちらちら見てたしぃ~、ボクのおっぱいに顔をうずめたくて仕方がなかったんじゃないのぉ……? えへへっ♥」

 本当に嬉しそうに言うボクっ娘メイド――このままでは、彼女の術中にハマってしまうッ!

 何とか脱出しないと……

 いや、でもボクっ娘メイドのふわふわおっぱいは、俺の心をやんわりと包み込んで離さない……

 このままではダメだッ!!

 いや、でもこのまま包みこまれていたいような……

 そんなことを悩んでいた時、ボクっ娘メイドが甘い声で誘惑してくる。

「ねぇ、ご主人様~っ♥ ボクのおっぱいで天国へ行きたくないですか~っ♥ それならぁ、春の新メニュー“みるくましゅまろのふわふわ天国”なんていかがですぅ? 甘ぁい甘ぁいデザートを、心逝くまで堪能できますよぉ? ねぇ、ご主人様ぁ~っ♥」

 甘い甘いボクっ娘メイドの誘惑。

 それに対して俺は――


 D トイレに逃げる。

 E“みるくましゅまろのふわふわ天国”を頼む。

 F 誘惑には負けない。彼女の下着に手を伸ばす。




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